心理カウンセリング「ほっ」とＴｉｍｅ

私たちは、年齢を重ねても必ずしもその年齢に相応しい精神年齢にあるとは限りません。
歳の割には大人びている人もいれば、逆に幼い感じの人もいます。

年齢の割に幼く見える人というのは、自分の感情や気持ちをコントロールできないでいる人や、子供の頃の習慣（人に見て欲しくて駄々をこねたり、すねたり、黙ってしまったりする行為）がそのまま残っている人等です。（自分の機嫌を人に取ってもらう行為等も含む）

年齢を重ねても精神的な幼さが残ってしまうのは、何故なのでしょう？
それは自分という存在に対する誤解を何処かでしているからです。

皆さんは自分自身のことをどのように思っていますか？
価値のある存在だと思っていますか？
信頼出来る存在だと思っていますか？

もしその答えが、『本当は居ない方が良い存在』等、ネガティブなものがあるとすれば、その人は、過去における何らかの出来事に対して、誤った解釈をしたことがきっかけで、自分という存在に対して誤解している可能性があります。

〈以下の事例は、大人になってからも、ことある毎に自分はどうせ解ってもらえないと思ってしまう人の例です。・・・実際にあった事例を少々脚色しています・・・〉

ある人が子供の頃に、幼い弟と一緒にシャボン玉遊びをしていたところ、何かの拍子に弟がジュースと間違えて別の容器に入ったシャボン玉液を飲んでしまいました。弟がむせて泣いている所にお母さんがやって来て、「あんた何を飲ませたの！」と兄に対してかんかんに怒りました。

兄もそこで起きたことに対してびっくりして、お母さんにものすごい剣幕で怒られたことで気持ちが萎縮し、自分のしたことが故意でないことを伝えることも出来ないまま、その出来事が片付けられてしまいました。

すると、兄は自分が悪者になったまま、お母さんにその時信用してもらえなかった思いだけが心に残ってしまいました。「僕はそんなに悪くないのに・・・」と。

この思いが消化されないまま大人になった兄は、『僕は人から信用してもらえない、どうせ解ってもらえない・・・』等と何かの拍子に思うようになり、その後の人生で起こる様々な出来事や人間関係においても、自分が少しでも不利な状況になると、口をつぐんでしまったり、すぐにあきらめてしまうことが多くなってしまいました。この兄は、いつも心のどこかでモヤモヤした思いを抱え続け、人との信頼関係を心底から築くことに苦労し、どんな人といても、どこに居ても、自分が今ここに居ないような感覚が付きまとう人生になってしまいました。

この兄にとっては、当時心がパニックになっていたものと思われますが、泣きじゃくってでも故意にしたのではないことを、お母さんに解ってもらえるまで訴え続ける手もあったと思います。兄の自分という存在に対する誤解は、自分自身を悪者にしたまま（解ってもらえない存在にしたまま）心に納めてしまっていることから生じています。そのことがこの兄の人生に暗い影を落とし、大人になってからも『どうせ解ってもらえない僕』が心の中に定着したまま、不本意な人生を味わい続ける結果となっています。

こうして心の中に、ある出来事に対する歪んだ解釈が存在することによって、その人の心の成長や人生の発展が妨げられてしまいます。
人はどうしても一度手に入れた決定的な解釈を通して、その後の現実世界を見ていくという傾向があるので、物事の見方や解釈が歪んでいるなと感じたら、それを精査する必要があります。

そしてこのような歪んだ解釈を手に入れた当時の出来事をもう一度見直し、そこで起きた事実を再認識し、解釈をし直すことで自分という存在への信頼や価値を取り戻していくことが出来るようになります。こうしたことがうまくいけば、心の成長や人生の発展が促進されていくようにもなります。

もし仮に歪んだ解釈を手に入れた出来事が大昔のことだっとしても、今は心理セラピーによってそれを解くことが出来ます。